免許を取ったばかりで運転に慣れていない時期や、ふとしたときの不注意で車をこすってしまった、相手にぶつけられてしまったといったなど、様々なケースで気を付けていても車にキズがついてしまう事があります。
また、自分では運転中全く気付かないうちにキズがついている事も考えられます。
このとき愛車にキズをつけてしまったこと自体精神的にショックが大きいですが、売却の際に売値が下がってしまうことも心配になります。
あなたの車にキズがついた場合、どの程度査定額が落ちてしまうのでしょうか。ここでは外装のキズが車の買取り・下取り額にどう影響するのかについて解説しています。
また、車の価値を保つためにキズを防ぐ方法と車を売る前にキズをつけてしまった場合の対処方法についても解説していきます。
もくじ
ボディにキズが付くと買取り査定でいくら落ちるのか?
ボディにキズがついたりへこんだりしていても車を売ることはできますが、当然ながら車は新車の状態に近い方が価値は高いです。
つまりボディに関してはキズがついていると売却の際の評価が低くなって買取額が下がってしまいます。しかしどんなに気を付けていてもぶつけてしまったり、こすってしまうという事が誰にでも起こりえます。
車を買ってから売るまでに全くキズを付けないという方が非常に困難です。つまり中古車はどこかしらにある程度キズがついていると認識されています。しかし、どのくらい価値がマイナスとなるのかはキズの度合いによって変わってきます。
買取ではどの店も外装の評価をするとき、下記のような査定表を用いてボディパネル1枚ごとに5段階評価がつけていきます。
大きく分けて、キズの大きさ、深さ、そして数がチェックされます。また、板金に変形がないかといった項目が評価に大きく変わるポイントとなります。
軽度:軽い擦り傷・塗装にキズがつきグレーの下地が見えている場合
多くの場合、車のボディ塗装は金属の地肌の上にグレー色の下地が塗ってあります。下地までキズが達していなければ、再度塗装することも比較的容易です。
キズが米粒程度の大きさなら、そのまま塗装しなくても大きな問題はありません。下地によって金属面は守られているからです。
こういった塗装の層のみキズがついているという状態は程度としては軽度といえます。軽度のキズは経年と共に自然につくものとして、査定額への影響も少ない場合が多いです。
例えば以下のようなケースがこれに該当します。
線キズ・引っかき傷
状態としては傷として見えてはいるものの、触ってみると引っ掛かりを感じない程度のもの、もしくは爪で触ってほんのわずかに引っ掛かる程度のものです。
走行中に前を走っている車、もしくは自分の車のタイヤが巻き上げた小石が擦れたり、細い道で植物の枝が触れたりと様々な要因でできます。乗り降りの際に無意識に爪が当たり、それが積み重なってできるケースもあります。
つまりこのレベルのキズは完璧に防ぐのは難しいので、よほどキズだらけになっていない限り査定にもほぼ影響しません。
気になる場合はカー用品店などで売られている市販の研磨材で磨くか、簡易的なコーティング剤などを使えばほとんど見えなくなります。査定への影響は少ないですが、キズは無いに越したことはないので査定前に気になるところはキズを消しておくと査定の印象が良くなります。
飛び石キズ
ボンネット前面やフロントバンパーに砂つぶくらいの塗装の欠けが見られる場合があります。
これらのキズは前を走行している車が、道路上の小石をタイヤで弾いてあなたの車に当たってできたものです。
小石程度で塗装が欠けるのかと思うかもしれませんが、高速道路を走行中であれば前の車が弾いた小石に対してあなたの車は時速100kmで突っ込んでいっていることになるため、相当な威力となります。
フロントガラスに当たった場合、ガラスにヒビが入ることさえあります。
飛び石で塗装が欠けたキズは指で触ってわかるくらいの深さになります。これは1つでもあると減額の対象となります。仮にバンパーに米粒サイズの飛び石キズがある場合、外装評価が1段階下がります。3か所以上ある場合は更にもう1段階下がります。
金額でいうと、外装評価が1段下がることで2~5万円減額されます。これが20年落ちの車のような極めて古い車なら減額の対象になりにくいですが、新車から5年以内といったような比較的新しい車の場合減額の幅が大きくなります。
これは他の部品が綺麗なだけに、相対的にキズに対するマイナスの印象が大きくなってしまうためです。
また塗装が欠けている場合、長期間雨ざらしにしていると錆が発生する場合があります。すぐに車を売らないのであれば塗装補修用のペンをディーラーかカー用品店で買い、キズを塞いでおいた方が良いでしょう。
基本的に塗装の修正は素人がやってもプラス査定には働きません。しかしサビが発生してしまうと査定の減額が大きくなってしまうため、査定を上げるためではなくこれ以上価値を下げないための処置として行います。
中度:ボディの金属面や樹脂の素材が見えている・ボディが凹んでいる
車で普通の広さの道路を走ってれば事故でも起こさない限り、目に見えるほどの大きさの傷は実はなかなか付きづらいものです。
実際は路地や駐車場など、低速で慎重に動いている状況の方が、障害物が近くにあり車をぶつけてキズをつけやすいです。しかもそういった状況でつくキズの場合、障害物が頑丈なため大がかりな修理が必要になってくる場合が多く、買取額へ影響が出やすいといえます。
また、いたずらなどで故意に傷がつけられることもあります。俗に「10円キズ」と呼ばれるコインで引っ掻かれたようなキズも同程度のキズとなります。
中程度の傷の例として、下記は駐車場から車を出そうとした時にコンクリートの壁に接触してしまった際にできたキズです。
コンクリートブロックやガードレールなど、頑丈で背の高めな建造物とボディが擦れてしまうと、軽く当たっただけでも塗装と下地を貫通してボディやバンパーの素材部分までキズが達してしまいます。
こういったキズでは新車価格250万円の国産車を例にした場合、おおよその目安で下記のような減額幅になります。
- 5年落ちの場合:8万円前後マイナス査定
- 10年落ちの場合:5万円前後マイナス査定
ちなみに新車価格500万円の国産車では、以下のようになります。
- 5年落ちの場合:15万円前後マイナス査定
- 10年落ちの場合:8万円前後マイナス査定
外車になるとここから1.5倍~2倍の額がマイナスとなります。
また、下記は金属製の柵にぶつけてしまった際にできたボディの凹みです。
手すりや柵などの細くて一ヶ所に力が加わりやすいものにぶつけてしまうと塗装自体は軽傷でもボディが凹んでしまいます。
こういったキズは板金で凹み修正が必要なため売値のマイナス影響が大きくなり、新車価格250万円の車の場合の目安で下記の減額幅となります。
- 5年落ちの場合:15万円前後マイナス査定
- 10年落ちの場合:10万円前後マイナス査定
そして新車価格500万円の車の場合は下記のような減額となるイメージです。
- 5年落ちの場合:30万円前後マイナス査定
- 10年落ちの場合:15万円前後マイナス査定
このキズの場合も外車になると1.5~2倍の金額がマイナスとなります。
この手の修理を自前でするのはオススメできません。なぜなら素人が大きなキズを修理すると、仕上がりが悪いことが多く査定額が上がらないためです。
休日を何日も使って修理をした結果、査定できっちり減額されてしまっては辛い思いをするだけです。へこみを自分で直すのは諦めましょう。
重度:塗装に板金面までのキズがあり、ボディに凹みや変形がある
イメージとしては前述した中程度のキズがいくつもあるか、もしくは金属面・樹脂面までに達する塗装キズ・ボディの変形のどちらもある状態です。
特に凹み・変形に関しては、範囲が広いと修理費が高くなりすぎるため、部品まるごと交換した方が良い場合も多々あります。このレベルになると数十万単位で査定額に影響が出ます。
車の外装にそんな重傷となるキズがつくのは、主に接触を想定してない速度で接触・衝突をした場合、つまり、物損事故レベルのものです。
または駐車などの低速走行中でもぶつけたり擦ったりを何度も繰り返し、修理せず傷だらけのままにしていると、塗装や板金へのダメージが蓄積されて同じレベルのキズの扱いになってしまいます。
下記の写真の傷は交差点を曲がる際に金属ポールを巻き込んでしまいボディが波打ってしまっています。これを修理するとなるとドア2枚分の広範囲の板金修理と塗装が必要になるため、20~30万円の修理費用がかかります。
買取査定額に関しては修理費と同等まではいかなくとも、10万円程の大幅な減額影響が見込まれます。
車を売る前に修理をした方が良いと考える人は意外と多いですが、車屋や修理工場に払う修理費用の分以上に査定額が上がることはないため、大きく減額されると分かっていても事前にお金をかけて修理をする必要はありません。
タイヤ・ホイール回りにキズがついた場合
タイヤやホイールは障害物との距離感が分かりづらいため低い障害物があるとぶつけやすい部位です。これらもキズの有無で査定に影響が出てきます。
タイヤに関してはパンクにつながるキズでなければあまり問題にはなりませんが、側面を傷つけてしまうと厄介です。タイヤ側面の傷はパンクにつながる危険性があるうえ、修理しても元の耐久性を確保できないため実質修理が不可能で、交換が必須となってしまいます。
下記写真のような擦れただけの傷であれば安全上の問題はありません。
下記のような抉れたり、切れたりしている場合だとそのまま使用するのは危険なため交換が必須になってきます。
タイヤ交換が必要になる場合、査定では2~3万円の減額影響が見込まれます。買取業者は基本的に修理よりも交換を考えるので、小さいキズでも交換費用として計算されてしまいます。
ホイールの傷についてもモノによって影響度合いが異なります。車のホイールは鉄製の黒いスチールホイールの上に「ホイールキャップ」というプラスチック製のカバーをかぶせたものと、単体で形成されているアルミホイールがあります。
あなたの車はホイールキャップが付いているでしょうか、それともアルミホイールでしょうか。
例えば以下のようなものは鉄ホイールにホイールキャップをかぶせたものです。
軽自動車やコンパクトカーの廉価車種だとホイールキャップが付いているものがあります。こちらはカバーそのものがプラスチック製で新品を買っても2000~3000円と安いので、キズがついてもほぼ査定への影響はありません。
一方でアルミホイールは高価です。一般的なものでは1本で数万のものから、高級なものは数十万円までピンキリです。
こちらはボディのキズと同じように表面にできた少しの擦りキズならほぼ影響はありませんが、ガリ傷でホイールの金属そのものが削れていたりすると査定に影響があります。
この写真のように塗装がはがれていたり削れている場合、一般的なもので一ヶ所につき1~2万円程度査定で減額されます。
ホイールは見えにくくぶつけやすい場所であり、外観としても目立ちにくい場所であるため査定への影響はさほど大きくありません。しかしアルミホイールの中には表面に高価な塗装が使われているものもあるためキズが多数あると査定額が大きく減額となる場合があります。
バンパー下にキズがついた場合
キズの査定は他にも重要なポイントがあります。あなたは自分の車の下を覗いてみたことはあるでしょうか。普段全く見えない部分ではありますが、この下回りも査定の際にはチェックされるポイントになっています。
バンパー下はお店の駐車場などの段差に侵入するときや平地から坂道に入る際に擦りやすい部分です。本人も気付かないうちに傷つけている場合もあるので確認してみましょう。
基本的にこの部分は立った状態でキズが見えていなければ査定額に大きな影響はありません。下記の写真ではバンパー下に擦った跡がありますが、正面から見た際に塗装部位に少しキズが見えるので若干ですが査定に影響があります。
下回りで重要視されるのは雨水や泥などをかぶる部分であるため金属部品がサビていないかどうかというところと、大きく破損している部位がないかです。地面との擦りキズに関しては外から見えていなければ重要視されないため過度に心配する必要はありません。
ボディの傷は修理してから売るべきか
なお、車を傷つけてしまったときに傷を修理してから売った方が良いのかということを考える人が意外と多いですが、本格的な塗装や板金の修理が必要なレベルのキズでも売る前に修理する必要はありません。
冷静に考えてみれば分かりますが、あなたがお店に1万円払って塗装を修理したとします。そこには材料費以外にお店の利益が工賃として乗っているので、純粋に修理だけにかかる費用はずっと安いです。
技術を持った業者が自分で車を直そうと思えば1000円程度の材料費と20分くらいの時間で直せたりするわけです。このことからあなたが修理でお店に支払うお金以上に、査定額がアップすることはありません。
それでは自分で修理をしてはどうかと考える人も多いですが、これもおすすめできません。時間もお金もかかって査定額は上がらないためです。
なぜかというと、素人では査定額が上がるほどの仕上がりで修理できないためです。素人目にはキレイでもプロからみたら雑ということです。また、後々買い取った業者が修理をしようとしたときに素人が下手に修理をしてまった後の方が、きれいに仕上げるの難しくなってしまう場合があるため、良い印象にはなりません。
しかし、どんなキズでも修理せずそのままにして良いわけではありません。これも先に説明しましたが塗装が剥げて地肌の金属が露出している場合は査定の評価につながらなくてもキズを補修しておく必要があります。
自動車のボディは鉄でできてるため、地肌が露出した状態で雨ざらしにしてしまえばすぐにサビが発生してしまいます。サビが一度発生するとキズがついた状態からさらに価値を落とすことになるため、外気に触れないようにしておく必要があります。
このとき使う道具としては、ディーラーで自分の車と同じ色のタッチペンを売ってもらい傷を補修するのがベストです。カー用品店で似ている色を適当に選ぶと、いざ塗ってみると下記の写真のように全然違う色になってしまうケースが起こりえます。
このときの補修の目的は見た目を良くして査定額を上げるのが目的ではないですが、無駄に減額される要因を作らないためにも色は合わせておきましょう。
車のボディを傷つけてしまった場合、あえてお金をかけて修理する必要はありませんが、後にサビにつながるような傷に関しては必ず補修して錆予防しておきましょう。そうすることであなたの車の価値が余計に低下するのを抑えることができます。
傷があっても査定で減額されずに売るには?
車体にキズがついている場合、キズのない個体に比べて査定額が落ちるのは当然のことですが、売るお店によってはその減額の影響が少なくて済む場合があります。
例としては自前でコーティング等のボディ加工の技術を持っていて車の販売も行っている店舗であれば、中程度のキズであれば業者に委託しなくても直せるため、キズの金額への影響は少ないことが考えられます。
他にも特定の車種を専門に扱っている店であれば、同型の車種の外装部品を補修用に持っている、または安く手に入る場合があります。
また、特定の車種の扱いに長けていると修理に関しても一般的な多品種を扱う店よりもコストが安く済むことが多いです。修理にかかるコストが安いということは買取時のキズに対する減額影響も少なくて済むのです。
これらは一例ですがあなたの車に対してどのくらい減額していくかは買い取る店によって違うため、あなたの車のキズに対して査定の減額が少ない店に売る必要があります。
しかしそれを事前に判断する方法がないため、近所の中古車屋や買取店で実際に査定を受けてみた結果の買取金額で判断するしかありません。
査定結果で判断するには比較することが必須となり、なるべく多くの店で査定を受けることが重要になってきます。ある程度の数査定のサンプルを取ることで相場が分かってきます。
多くの店で査定を受けるときに適した方法としてWEB上で一括査定を依頼するという方法があります。通常車の買取は店舗に車を持ち込んで査定してもらうのが一般的ですが、一括査定では出張買取の形となります。
ネットからの申し込みで一度に複数のお店に依頼をかけることができるため、多くのお店で買取査定を取るのに適しています。
一括査定サービスに関しては一部で「登録した瞬間から電話が鳴りやまない・しつこい」などネガティブな一面も取り上げられています。
しかしその一方で利用して売却した人たちから、一定の満足度を得られて20年以上継続して発展し続けているサービスでもあるため、利用して査定額を比較しましょう。
まとめ
車にキズやへこみがあると中古車として価値が落ち、買取査定で減額されるのはなんとなくあなたも感じていることだと思います。
ただ、傷の種類と数によって大きく減額される場合とそうでない場合があります。実際どのくらい査定額が下がるのかは分かりづらいところです。
買取業者もそれを分かっており、実際には査定にあまり影響しない傷にもかかわらず、それを理由に過剰に安く買い取ろうとしてくる場合もあります。
このとき1店舗だけの査定ではその提示額が正しく評価されている金額なのか判断ができません。必ず査定は複数のお店で受けるようにしましょう。
いくつか異なるお店で査定をしてみることで、たまたまあなたの車を欲しがっているお店に当たり、キズがあっても高い金額で買取してくれることもあるかもしれません。
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