車は買うときは何百万もする高額なものですが、売るときには思ったよりも値がつかない場合が多々あります。
車の状態によっては、値段がつかないという結果になることがあります。車を引き渡すのにお金がもらえないということは、その車には市場でお金に換算できる価値が無いということになります。
確かに古い車であったり、大きな損傷があったりする場合、あらゆる部分で価値が落ちているのは確かです。また、走行に支障があれば直すために修理費が必要なため、その分は車の価値から更に差し引かなくてはいけません。
そういった車であれば感覚としては0円になるのも納得できますが、古いなりに良好な状態で走れている車であっても、査定が0円になることがあります。
果たして査定で0円という結果が出た車は本当に価値が無いのでしょうか。ここでは、値段の付かない中古車であっても高く売る方法を解説していきます。
もくじ
なぜ車の下取り額が最低価格になるのか?
いまの車は昔よりも耐久性は上がり、走れる状態をより長く維持することができるようになりました。
しかし、現在でも車を売りに出した場合に「値段がつかない」と言われるケースがあります。なぜ昔よりも頑丈になり価値が高いはずの車が0円の評価になるのでしょうか。
車の評価価値が低いとき、以下のような理由が考えられます。
- 中古市場での価値が低い
- 故障が多く、修理費で価値がマイナスとなる
- 買い叩かれている
順に確認してみます。
中古市場での価値が低い車である
中古市場で価値が低いとは、需要がない車ということです。需要が無いと新車当時の値段が高くても、中古車としての価値は低くなります。例のひとつとしては外車が挙げられます。
ベンツ・BMW・アウディなど、海外ブランドの車は中古での価値の落ち幅が大きいです。特に5万km走行するあたりから中古としての価値は急落します。
これは「査定のときに評価するポイントが日本車と違う」「業者の売却ルートが限られる」という理由で査定が難しい車であるためです。評価するポイントが分からないと値付けが難しくリスクがあるため、安全を見て安く買取る傾向になります。
また、外車は日本車と比べて耐久性の面で劣ります。また、部品も輸入品であるため高額です。その結果、修理・維持費が高額になりやすいことから古い輸入車はユーザーとして手を出しづらい車になります。
このことから中古車としての人気は上がりづらく、新車で800万円くらいしていた車が、5~6年後に中古で250万円ほどで売っていたりします。
中古にて250万円で売っているということは、買取業者に売るときの値段は180万円くらいです。ユーザーからして見れば5~6年で価値が2割程度になってしまったことになります。
例えば以下は新車だと最低でも812万円するアウディA7の5~6年落ち中古価格との比較です。
しかし、価格が落ちやすい外車でも、もちろん価値0ではありません。中古車の価値の落ち幅は年数が経つにつれて緩やかになるためです。
新車から価値が半分になるまでの時間は早いですが、値段がつかないといった状況には簡単にはなりません。イメージとしては以下のようになります。
需要がないとはいっても車は本来高価なもので、安値には限界があるということです。
故障が多く、修理が必要な場合
また、故障のリスクが車の価値を下げているというケースも考えられます
普通に走行できるようになるために修理が必要な車の場合、当然修理費がかかるため価値は下がります。修理といっても「ボディにキズやヘコミがある」「内装が傷んでいる」など、走行に支障がないといったレベルの破損であれば買取業者もそのまま売ることが多く、買取価格にもそれほど大きくは影響しません。
一方でエンジンやギアなど駆動系の調子が悪いなど、走行に影響がある場合には修理が必須です。走行に関わる部分の修理は高額になりやすいため、10年経った車で「明らかにエンジンの調子が悪い」「走るとどこかガクガクする」といった状態の車であれば価値は大きく下がります。
そうしたときに、例えば10万円で売れる車であっても、修理に10万くらいかかってしまうという状況だと、買取の価値としてはゼロになってしまいます。
そのため上のグラフのように中古車屋で本来40万くらいで売られる車でも故障の具合によっては買取査定では0円となるといったことも起こりえます。
買い叩かれている場合もある
ここまで述べた値段がつかないほどの悪い条件というのは、全て車のコンディションの問題です。しかし、車は悪くないのに値段がつかないケースがあります、それが相場よりも安く買い叩かれているケースです。
買い叩かれているというと、客を騙してお金儲けをしている一部の悪徳業者のようなイメージがあります。ただ中古車買取には定価が無いため、相場よりも大幅に安く査定をして差額を儲ける手法は多くのお店で行われています。
「自動車メーカー直系の正規ディーラーではそんな事をするわけがない。」と思うかもしれませんが、むしろ多くの場合、ディーラーで車の下取りをする方が買取専門業者と比べて安くなりがちです。
下取り価格が最低価格になりがちなのは正規ディーラーの本業はあくまで新車の販売であるため、労力をかけて車の買取りを競う必要がないからです。
また、正規ディーラーの査定は「新車から5年経ったら新車価格の50%で下取り」といったような自動車メーカーが設定した独自の基準が適応されている場合があります。そのため中古相場と一致しない査定結果になります。
車を売る場合、なんとなく中古市場の相場に見合った金額で買ってくれているというイメージがありますが、そうではないケースがあなたの車で起きているかもしれないのです。
査定で0円と言われた車に値段を付けて売るには
ここまで、査定が0になるケースを解説しました。しかし、それでも実際の価値としてはまだ0になっていないケースがあります。それでも現実に0円と査定されてしまう車に少しでも値段を付けて売るにはどうしたら良いのでしょうか。
まずやるべきなのは洗車と掃除です。洗っても洗わなくても車の価値は変わらないと思うかもしれませんが、中古車として査定が0円となった車に1000円でも値段を付けて売ることを考えた場合、これが意外と査定額に影響する重要なポイントです。
そして次に必要なことが自分の車に合ったお店で売ることです。これにはいくつかの選択肢が考えられます。
- 海外輸出業者に売る
- あなたの車の買取に強い店を選択する。
- 廃車買取業車に売る
これらを順に解説していきます。
海外輸出で中古車市場の価値よりも高い値段で売る
値段が付かない最低価格の車であっても、海外であればまだまだ需要があり価値のある車として高値で取引される場合があります。
日本では「車は10年か10万km乗ったら寿命」というイメージがついています。また、日本人は「道具は壊れず使いたいときに使えて当たり前」と考える人が多いため、故障と付き合って直しながら使い続けるということを好みません。
そのせいもあり、おおよそ8年・8万kmくらいで乗り換えをします。新車から廃車になるまでの期間、かなり使い込む人でも13年です。これは世界的に見ると早い買い替えサイクルです。
海外では20年以上乗る国もあり、オーストラリアでは23年弱と日本の2倍近く乗っています。
各国の車の使用年数分布 | |||
国 | 使用年数 | 国 | 使用年数 |
オーストラリア | 22.6 | オランダ | 15.1 |
フィンランド | 22.0 | イタリア | 14.1 |
スペイン | 18.0 | スイス | 14.1 |
ブラジル | 17.5 | ドイツ | 13.7 |
デンマーク | 16.8 | イギリス | 13.5 |
オーストリア | 15.4 | 日本 | 13.3 |
カナダ | 15.4 | アイルランド | 13.0 |
アメリカ | 15.3 | 韓国 | 13.0 |
フランス | 15.2 | ベルギー | 11.8 |
上の表で見ると日本の車の使用年数は他の国々と比べて少ないことが分かります。また、前述した故障を許さない国民性もあってか、日本車はとにかく経年劣化に強く壊れにくいのが特徴です。
つまり日本の中古車というは海外から見ると、元々壊れにくい車である上に走行距離も少なく、年式も新しい状態で売られているので海外で人気があるのです。
海外需用のある車の例として、以下は日産ムラーノのgooでの販売価格です。走行距離10万kmで年式も古いので24万円とかなりの安値です。
店頭で24万円の販売価格だとディーラー下取りでも中古車買取でも値段はつかない可能性が非常に高いです。買取専門店が中古車を買取り、他店に売る際の中間マージンを考えると、買取金額を高めに設定したら利益が出なくなるからです。
しかしこのレベルでも海外ではまだまだ価値のある個体です。海外に輸出するルートを持っている店であれば充分値段が付きます。
私の知り合いは13万km走ったムラーノを輸入車ディーラーで買い替えの際に下取りしたところ、20万円の値がつきました。
予想外に高い値段が付いたため理由を尋ねたところ、やはり海外に輸出するということで高値がついたようです。
このように海外で需要のある車は、日本国内で価値が0になっていてもまだまだ値段が付きます。この例を見ると、日本よりも高く売れる海外輸出業者に車を売るのが最も良い選択と言えそうですが、この方法には二つ問題があります。
一つは、どの店が海外輸出できる買取業者なのか見分けることができないということです。
もちろんお店に直接聞けば教えてもらえますが、車を輸出できる業者は数ある買取店の中でも少数であるため、直接聞いて回って見つけるのは困難です。
お店側も個人のお客さん相手に買取の営業をするよりも、オートオークションで車を探しほうが早く簡単に欲しい車が見つかるため、あまり表立ってアピールしていません。
二つ目は、全ての日本車が海外に出せば高く売れるわけではないことです。あなたの車がそのとき輸出で高く売れるという保証はありません。
海外輸出は高値が期待できますが、輸出ができる買取店自体が少ないため見つけるのは難しいです。更に今のあなたの車が高く売れるかはその時の海外での需要次第なところがあり、少々難易度は高いです。
あなた車の買取に強いお店に売る。
この方法は海外へ売る場合と比べて買取額の高さでは負けるかもしれませんが、多くの場合で見て高値が期待できる売り方です。
当たり前の事ですが、あなたの車の買取額は査定するお店によって差が出ます。
例として、2008年式のゴルフを2017年に売った例で見てみます。この車は9年落ち・約9万km走行で国内ディーラーの下取りで5万円の査定が出ていました。
この金額からして、もうここから一年以上乗ればこのディーラーの査定では値段がつかなくなります。
そして全く同じ時期にこの車をフォルクスワーゲンディーラーで下取りをしたときの価格が以下になります。
同じディーラー下取りという方法でも、一方では5万円、もう一方は18万円という3倍以上の価値がついています。後者の金額であれば一年後でもギリギリ数万円の値段は付きそうです。
この査定額の差はどこから生まれているのでしょうか。答えは買取った車のその後の販売ルートの違いにあります。
国産車ディーラーでは輸入車を直接売ろうにも、9年前の輸入車がいくらで売れるのか分からないため、基本的には確実に売りさばける業者用オークションへ売ることになります。
つまり下取りした車が別のお店で販売されるまでの流れは以下のようになります。
下取り(5万円) → オークションに出品(25万円) → 中古車屋で販売(40万円)
それに対してフォルクワーゲンディーラーは自社の車であるため過去の販売実績などから中古車として売れるであろう値段がだいたい分かります。また自社の中古車用の販売網を生かして同じ系列店で売るようにします。
そうすると車を下取りしてからのルートは以下のようになります。
下取り(18万円) → 系列店で販売(40万円)
再販したときの値段は同じですが、フォルクスワーゲンディーラーの方が高いお金で下取りしたにも関わらず多くの利益を得られることが分かります。これは国産車ディーラーよりも輸入車ディーラーの方がゴルフの売り方に関しては長けているためです。
具体的には以下のような強みがあります。
- オークションに出すよりも高く売れる販売ルートがある
- 車の状態に見合った販売価格を正確に知ることができる。
このようにオークションに出す以外にも、あなたの車についてより高く売るための方法を知っているお店の方が買取も高くすることができます。
廃車買取業者に売る
走行に支障が無いのであれば、車の価値はそうそう0になることはありません。
しかし「エンジンがかからず、何年も放置している」「事故で破損が激しい」といったような、普通に乗ることが出来ない場合だと、ガリバーやビッグモーターのような買取店へ持って行っても査定がゼロになる可能性があるため、この場合は廃車買取業者に売った方が値段がつきます。
なぜなら廃車買取業者は一般的な買取店と違って、車をスクラップにして廃車にし、鉄資源として売って儲けを得るためです。
つまり、一台の車としての価値が無くても鉄資源ととしての価値でお金に変えることができます。
ですが車一台から取れる鉄の買取額は軽自動車で8000円くらい、普通乗用車で1〜2万くらいです。
ちなみに平成16年以前に新車登録された車だと、廃車時にリサイクル料金を払う必要があるため、車によっては差し引きでマイナスになってしまいます。そこで、再利用できそうな部品があれば部品単体で買取してもらいます。車のカーナビ、バンパー、ヘッドライトなどは中古でも数千円、高ければ数万円の価値があります。
・ヤフオクで入札が入っている中古ヘッドライトの価格
こうして「鉄資源」と「部品」として買取ることで買取額がつくようになります。
しかし、この方法は下取りと買取の両方でどの店に行っても値段がつかなった場合の最終手段となります。鉄と中古部品の買取よりも、できれば一台の車として売った方が高く売れるためです。
また、廃車にしようと思っていた車を査定してみた結果、車としてまだ価値があることが分かったというケースも考えられます。そのため、廃車買取のお店を選ぶ際には、「鉄資源の買取」の他に「部品の買取」と「中古車の買取」もできるお店を選ぶことがポイントとなります。
自分の車に合ったベストなお店を見つけるために一括査定を利用する
ここまで買取で値段がつかない車を高く売る方法を3つ紹介しましたが、まだ問題が残っています。
それはここまで紹介してきた売り方の中で、査定額が0円で値段の付かない「あなたの車」にどれが合っているのか、自分で判別する方法が無いことです。
査定が0円で値段が付かないあなたの車に対して1000円でも高く値段をつけるには、「価値を見出すことができる査定士」「価値を生かすことができる販売ルート」が必要です。
しかしどのお店がその両方を備えている買取業者なのか、事前には判別することができません。そのため査定結果を見て、一番高いお店が最も車の価値を引き出してくれたと判断するしかありません。
そのためには、より多くの業者で査定を受けてみる必要があります。最低価格となっているあなたの車について、どの部分に価値があると判断するのかは査定士によって異なるためです。
そこで、ネットの一括査定を利用しましょう。
一括査定のサービスには、海外輸出できる業者や廃車業車を含めあらゆるタイプの業者が登録しています。地道に一店舗ずつ回らなくてもあなたの車の買取に得意な店舗を見つけられるため、効率的に価値ゼロの車を高価格で売れるようになります。
まとめ
車は新車価格が高くても中古市場での人気がなければ急速に価値が落ちていきます。
元々が売れにくく利益も少なった車では、確実に儲かるように買い叩きが起こりやすくなります。価値が低くなっている車をさらに買い叩けば、査定が0円の最低価格となる可能性は大きくなります。
しかし見る人によっては査定0円の車からも価値を見出して利益を得ることができるため、適正価格を付けてくれるお店に愛車を売る必要があります。
しかしどういった要因であなたの車の買取査定が0円となったのかは判断が難しいため、いろいろなパターンを想定して複数のお店の査定を受ける必要があります。
ネットの一括買取査定には様々な系統のお店が登録されているため、あなたの車に価値を見出せる中古車買取店を見つけ、可能な限り高い金額で売るようにしましょう。