車を売ることを考えたとき、当然ながら少しでも高い金額で買い取ってもらいたいと考えます。

あなたの乗っている車の価値はその車種の中古市場での人気によって大まかに決まっています。ただ、その同じ車種の中でも方法によっては高い査定がつくことがあります。

一方で売り方によっては、相場より低い査定が付く場合もあります。同じ車を売っているのに、どういった違いがあることで買取額が変わって来るのでしょうか。

ここでは、いま乗っている車を高く売るためにはどんな売り方をすることが有効なのかについて解説していきます。

買取額を高くすることはできるのか

中古車の買取額を高くするにはどんな事をすれば良いのかについて、ネット上を検索するとたくさん見つかります。

  • あまり状態の良くない車は、その事が分かりにくい雨の日や夕方に査定した方がいい
  • 洗車や掃除はしておいた方が良い

こうして、様々なテクニックが紹介されています。これらの方法はたしかに少なからず効果があります。

また、査定のポイントとして以下のことも取り上げられています。

  • フレームに損傷がないか
  • ボディの隙が均等か
  • シートはへたってないか
  • ハンドルはすり減ってないか

しかし、これらの情報を得たところで、長年使用した車の状態を簡単に良くすることはできません。

つまり近々車を売ろうという段階で何か情報を手に入れても、車の価値が大きく上がることはありません。あなたの車の価値はほぼ決まっていて、「中古相場で50万の価値の車が100万で売れる」ような必殺技は無いのです。

ネット上では、何十万ほど査定額が上がったという例も見られます。それは高く売れたともとれますが、本来そのくらいの価値があり、先に見た業者の見積もりが安すぎたともいえます。

せっかく車を高く売るテクニックや知識を身に付けても、高く買い取れない店に売ってしまったり、売るべき時期を外してしまったりすると自ら車の価値を下げてしまうことになります。そうするとせっかく努力して買取額を上げても意味が無くなってしまいます。

そうしたとき車の査定額を少しでも高くして高価買取を実現するためには、車に手をかけて買取額を上げる方法を考える以上に、高く売れるタイミングで、高く売れる所へ売ることが重要です。

買取店とディーラー下取り、どちらを選ぶべきか

車を売る場合、一般的にはディーラー下取りか買取店に売るかのどちらかを利用することが多いですが、あなたが車を売る際にはどちらの方法を選ぶでしょうか。

下取りは手間やリスクの心配をする必要がありません。下取りをする人は新しく車を買う人です。新車ディーラーは新車を売ることが仕事なので、新車を買ってくれるお客様に対して文句を付けたり手間を取らせたりすることで満足度を下げてはならないためです。

その代わり、一般的に下取りでは買取りよりも安い値段がつくことがほとんどです。

その理由はディーラーとしては新車を売ることが目的で、車の下取りには時間と労力をあまり使わないためです。労力をかけずとも手早く売りさばくことができるように、仕入れは中古車市場の相場よりも大幅に安い値段で行わないといけません。

しかし、ディーラーでの下取を利用する人が多くいるのも事実です。

下取りと買取り、どちらを利用するのが良いのでしょうか。最終的にどちらを選ぶにしても、見積もりは下取りと買取の両方を取ってみるのが良いでしょう。

なぜなら、下取りは買取よりも売値が安いと言われていますが、それが逆転するケースもあるためです。それはどんな場合かというと、中古車市場で人気の無い車を下取りするときです。

買取店での買取額は中古車市場での相場によって決まります。売れる見込みの無い車だと値段がつかないことがあります。

ではなぜ、そうした市場で売りにくい車をディーラーが買取店より高く買い取ることができるのでしょうか。それは、ディーラーは下取り車で利益を得られなくても良いためです。

ディーラーの儲けは車本体の売上げの他に、整備費、車検代、自動車保険の紹介料など新車が売れることで連鎖的に発生するものが主になります。必ずしも下取り車で利益を出さないといけないわけではありません。

例えばディーラーであれば、「中古車市場で10万円でしか売れない車を10万円で下取りする」こともできます。

これが買取店であれば、利益を出さないといけないので輸送費などを差し引いて「買取額は2〜3万円」といった感じになります。

また、新車の値引き可能な限度額は車ごとにメーカーから決められていますが、下取り額はその店の裁量で決められます。そのため、限度額以上に値引きしてでも売りたい場合に、値引きの代わりに下取り額を上げるということも可能になります。

下取りと買取と比べていくら売値が違うのか、差が少ないようであればより手間のかからないディーラー下取りを選ぶという選択肢もあります。

もちろん買取と比べてどれだけ差があるのかは、実際に比べてみないと判断できません。

また、比べるためには1社だけの見積もりではなく、複数の見積もりを取る必要があります。

これは1社だけの見積もりではその買取額が適正かどうか分からないためです。必ず相見積もりを取った上で買取価格と下取価格比較し、どちらを選ぶのか判断しましょう。

買取店を利用する場合、どの店で売ると高く売れるか

それでは、買取店ではどうなのでしょうか。中古車買取店の数はコンビニの数ほどに多く、それぞれの店で買取額が違います。

そのため、どの買取店で売ると一番高く売れるのかというのが気になるところです。

多くの人が「ガリバーで売るのが良いか、ビッグモーターで売るのが良いか」というお店の看板(有名かどうか)で買取額の優劣を判断しようとしますが、これにはあまり意味がありません。

なぜかというと、同じ名前の全国チェーン店であっても、お店ごとに買取額は違ってくるためです。同じ看板でもあなたの家の近所のお店と、他県にあるお店とでは買取額は違ってきます。

なぜ同じチェーン店で買取額が変わるのかというと、買取店が買い取った後にその車をどう売るのかは個々の店ごとに違っていて、その店独自の売り先を持っているためです。

あなたの車を高く売ることができる売却ルートを持っていれば、必然的に買取額も高くなります。

他にも、ある特定のジャンルの買取に強い査定員がいるという場合があります。「欧州輸入車が得意」「4WD車が得意」といった感じです。車種に対しての査定員の勘やコツがあると、車についている装備や仕様が中古車市場でいくらプラスされるかを正しく評価し、査定額に反映することができます。

これは古着の買取と同じで、なんでも買取する大型店舗はどの服も平均的に値段を付けるのに対して、扱う服のジャンルが決まっている店は、服のブランドやデザインを評価して買取額に差をつけます。

例えば以下のような特定のジャンルに分けられる車の場合、評価をつけられる店とつけられない店で査定額に差が出やすいです。

  • 輸入車
  • 背の高い4WD車
  • オープンカー
  • スポーツカー

つまりあなたの車の「高く売れるルート」と「正しい評価」を知っているお店が一番高く買ってくれます。

問題はそれを事前に見分ける方法が無いことです。そのため複数のお店で買取査定をして相見積もりを取ることが必要になります。

高く売れるお店選びのコツ

自分の車の買取に合ったお店を探すとは言っても数多くある店からどの店を選べば良いのか最初は検討がつきません。そこで、そのお店がどういった系統のお店なのを理解し、自分の車にはどんなお店が合っているのかを判断する参考にしましょう。

買取店は大まかに分けると3つの系統に分けられます。

  • 大手
  • 地場系
  • 専門店

これらの特徴を知った上で、あなたの車を売るのに合ったお店を選んでいきましょう。査定を出すときはそれぞれの系統のお店を当たって見積もりを取りましょう

大手はガリバー、アップル、ビッグモーター、などTVCMでも見たことがあるような、全国展開をしている店舗です。

大手の買取店では全国の店舗での買取実績がデータベースとして共有されています。また、査定の方法も同じくマニュアル化されています。これは全国に跨がる大企業であるからこその強みです。どんな車でも幅広く対応できることで、平均的に高い買取ができ、他店に対しての競争力になります。

・特定の地域で高い買取りが期待できる地場系店舗

地場系のお店は全国的に知名度があるような大きな組織ではなく、特定の範囲の地域で店舗展開をしています。チェーン展開しているところから個人経営まで、その形態は様々です。

規模が大きくない代わりに、その地域に深く根付いていることから、その土地ならではの車の売り方を備えていて、他店には出せない価格で買取できる可能性があります。

例えば、特定の地域のみ密集してチェーン店を広げていて、その地域だけは全国大手並にも影響力を持っているといった場合があります。地元の人にとっては「車屋=その店」になっていて集客力も大手並、買い取った車は自社店頭に並べて販売するため中間マージンも削減できるようになっています。

・特定の車種の買取に強い専門店

専門店はスポーツカーや本格的な4WD車、輸入車など、特定のジャンルの車のみを扱っています。ここでは専門店ならではの一般のお店とは少々違った車の扱いをする事で高価買取を実現できる場合があります。

例えば中古車市場では需要が無く、買取で値段がつかないと言われた走行14万kmのスポーツカーが、あるスポーツカー専門店で25万円の値がついた例があります。

これはその専門店が改造車のレースに車を参加させていたことが要因でした。そのスポーツカーは走行距離の割にボディの骨組部分の状態が良く、レース用車両のベースとして最適と判断され、市場の相場ではつかないような高値が付きました。

同じ車でも、売り先や使い道が違うと売値が変わってきます。

どんな店に売るか、ある程度あたりを付けてから査定を依頼することで、あなたの車を高く買ってくれるお店を見つけやすくなります。

車はいつ売ると高く売れるのか

車を高く売るために、“どこで売るか”と同じくらい大事なのが“いつ売るか”ということです。

結論からいえば、今すぐ売るのが一番高く売れるタイミングです。

中古車は定価が無く、ほとんど全ての車が時間と共に価値が下がっていきます。例外的に値段が上がるのは、一部のプレミアがついたスポーツカーくらいです。

つまり、売るタイミングはとても重要です。なるべく早く売った方が単純に高い金額で売ることができます。例えば 故障している車であっても直さず早めに売った方が得です。

これは壊れている所を修理に出してから売っても、かかった修理代金以上に買取額が上がることがないためです。これは当然のことで、あなたが払う修理代金には修理にかかった費用に加えて、お店の利益が乗っています。

しかし、車の買取ができるお店は大抵の場合で修理する設備も持っているので、純粋な修理費用のみで車を直すことができます。

つまり車の価値としては、修理した店に利益を払った分と時間が経過した分だけ損をしていることになります。

車の故障を自力で治せれば良いですが、それでも修理に数週間かかってしまうようだと、車の価値が下がり、修理して価値が上がった分を相殺してしまうことになります。

つまり多くの場合において“今すぐ”が高く売れるタイミングとなります。

1〜2月と7〜8月は高く売りやすい時期

車を売るタイミングとしては、状態に関わらず早ければ早いほど良いということになりますが、売るかどうか迷っていたり、どのお店に売るかで少なからず時間はかかります。

それらを考える時間の区切りのひとつとして、一年間の間で高く売れる時期があるため、その期間中に決断をするのが得策です。

3月と9月は一年の中でも車がよく売れる時期です。両月とも決算月であることと、特に3月に関しては、春先に免許を取得した人達が車の購入を検討する時期でもあります。

販売店はその少し前から車を用意するため12月と78月が買取数を増やしたい時期となります。そのため、相場より多少高くても買取台数を優先することがあります。

ただ高く売れる時期といっても、中古車は時間と共に値段が下がっていくため、実際には買取価格が上昇していくようなことにはなりません。11月に売ろうと思っていた車を1月まで待って売っても、その期間中にも車の価値は下がっているため±0が基本です。そして3月を過ぎると需要が無くなるため、買取額は急落します。

高く売れるというよりは、この間は値段が落ちない期間というイメージです。特にこの期間中を逃さないよう決断する、と考えておくと良いでしょう。

新型車の情報が出ると中古相場が大きく下がる

また車は同じ名前の車種で発売から年月が立つと、「モデルチェンジ」といって商品力向上のため外観や仕様を新しくします。小規模な改良だとマイナーチェンジ、車丸ごとの大きな変更だとフルモデルチェンジと言います。

どちらの場合でも、モデルチェンジの情報が出ると今売っているの車の中古相場は通常の時間経過で落ちる分よりも大きく下落します。以下のようなイメージです。 

これはあくまで未来の相場の予測なので、参考程度に留めておくべき情報ですが、フォルクスワーゲンゴルフで新型が発売されるとの情報が発表されたため、1月から値段がガクッと下落しています。

これは新型が出ると分かると、今の年式の車を買おうとする人が減り、中古市場で車の価値が落ちるためです。

これから新しく発表発売される“新型車”に対して、現在正規ディーラーで新車として販売されている車を“現行車”といいます。

あなたの車は現行車と同じ年式でしょうか。もしそうであれば新型車の情報が発表されていないか調べてみましょう。情報がネットや雑誌に出ているなら、なおさら売る決断は早い方が良いでしょう。決断が早ければ早いほど時間経過による価値の損失を小さくすることができます。

損をしないために価値があるうちに決断する

ここまでの解説で売れるタイミングを待っても、多くの場合で買取額が上がることは無いことが分かります。車をいつ売れば良いのかについて知っておくことは、車の価値を今より高めるためというよりは、元々あった価値から損をしないようにするというイメージです。

高く売れる期間中は、どこに売れば一番高く売れるか、お店選びに時間をかけることができます。その期間中を逃さずに売るようにしましょう。

また、現行車で発売から年数が経っている車であれば、新型車の情報にも注意しておきましょう。

これらを念頭において、車の価値が保たれているうちに高く売れる店を見つける必要があります。

限られた期間のうちに高く買ってくれるお店を見つけるためには、効率良く複数の査定を受ける必要があります。

実際に何件も買取店を回ってみると分かりますが、査定を受けて金額を教えてもらい、一旦売らずに帰る事を何度もこなすのは時間がかかります。そして意外と気疲れするものです。

そこで、時間と労力をかけずに複数の見積りを取る方法として、ネットから一括査定を申し込む方法があります。

ネットの一括査定を利用した場合だと、数分で申し込みが完了し、複数の業者に見積もり依頼をかけることができます。

時間帯も指定できて、店まで行く必要がないため、時間を効率よく使うことができます。時間がなかなか取れないけどなるべく高く売れる店を選んで決めたい。という場合には利用してみると良いでしょう。

車を売るときに価格以外で重要なこと

車を売るなら少しでも高く売れるかどうかが一番重要ですが、一方で納得して車を手放せるかも重要視するべきです。

必ずしも一番高い買取額の店で売るのが最高とは限りません。買取業車の接客態度が悪かったり、査定後に難癖を付けてくるようなお店には、たとえ買取が高くても売りたくないと考えるのも自然でしょう。

つまりあなたが売りたいと思った人に対して売るということも良い選択肢の一つということです。

長年乗ってきた愛着のある車であれば、手放した後の扱いを気にする人も少なくありません。信用できる親類や友人に売るという人はこのパターンが多いのではないでしょうか。

たとえ売値が安いとしても「大事に使ってほしいから、信頼できる人に売る」というのは非常に良い車の手放し方と言えます。

まとめ

車をより高く売るためには、あなたの乗っている車高く買ってくれる店に売ることが必要です。

しかし、売るタイミングを外してしまうとあなたの車の価値が大きく下がってしまう可能性があるため、まずは車を売る時期を確認することが必要です。売るべき時期を確認して、なるべく早く決断するのが高く売るコツです。

ただ、急いでいても買取査定は必ず一店舗ではなく二店舗以上で、可能なら一括査定を使ってなるべく多くのお店に依頼しましょう。

一括査定を申し込んでも、必ず売らないといけないわけではありません。お店側は申し込まれた中の1割程度しか買取できないということを初めから見込んでいるため、相場を知るために利用してみても全く問題ありません。

あなたが納得して売るためにも、より高い買取店を探すためにも、どちらに対しても一括買取査定を利用することは有効な手段となります。